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コニカミノルタ・大幸新社長が今後の方向性を示す
コニカミノルタ株式会社(コニカミノルタ)およびコニカミノルタジャパン株式会社(コニカミノルタジャパン)は3月31日、印刷業界メディアを対象とした「メディア懇談会」を開催し、4月1日付でコニカミノルタの代表執行役社長兼CEOに就任する大幸利充(たいこう・としみつ)氏とコニカミノルタジャパンの大須賀健社長が出席し、今後の方向性などについて示した。
新社長に就任した大幸氏は、これまでに海外現地法人におけるマネジメント経験を含め、コニカミノルタの主力事業である情報機器事業をリードしてきた。この間、複雑な組織をまとめあげ、既存ビジネスを維持しつつ、新規ビジネスを着実に軌道に乗せた。
加えて、2020年度からは専務執行役として全社経営企画、広報、IRも担当し、長期ビジョンおよび中期経営計画の立案と実行ならびにステークホルダーとのエンゲージメントに注力、全社視点での経営の舵取りに尽力してきた。
新執行体制においては同社の次世代を担う若手人財、技術人財、グローバル人財など、多様性のある人財を積極的に登用し、同社の至上命題である事業ポートフォリオ転換を加速させていく。
情報機器事業の業績回復、さらなる価値創造
コニカミノルタが取り組むべき喫緊の経営課題は、①オフィス事業、プロダクションプリント事業の利益・キャッシュ創出を回復させ、全社の経営を安定させること。
その上で、②オフィス事業で培った顧客の生産性向上の支援、すなわち業務フローをクラウド・デジタル活用により改革するソリューションを提供すること。並びに、③「計測・検査・診断」領域での独自のイメージング技術で時代とともに変化する顧客の「みたい」に応え、人々の生きがいを実現し続けるためにインダストリー事業、ヘルスケア事業の成長を加速させることにある。
成長加速を実現するために、現在展開している事業の一部縮小や見直しが必要な場合は、それらの課題に正面から取り組み、グループの利益拡大に加え、資本効率の向上に努めていく。
また、成長加速にはグローバルにDXを推進できる人財確保が不可欠であり、 内部育成と外部からの採用強化という現在進めている人財戦略を強化していく。 情報機器事業においては、顧客の業種・業務の課題に応じて提供した種々のソリューション商品とその導入・運用ノウハウをパッケージとして再編成し、提案することで同様の課題を抱える顧客に最適なソリューションやサービスを素早く提供する。スムーズな導入・運用を通して、効果的なDX推進への貢献を強化する。
国内についてはコニカミノルタの開発メンバーとコニカミノルタジャパンのマーケティング部隊がこれまで以上に一体となり、コニカミノルタジャパンがコニカミノルタの開発メンバーを指揮し、現場主導で顧客のニーズを捉えたマーケティングを強化していく。 自治体における業務フロー改革をDX活用で支援する展開については、新たなジャンルトップの重要な戦略と位置付けて取り組んでいく。
トナー生産量、事故発生前と同等以上達成にめど
昨年2度の爆発事故を起こし、近隣住民・関係者・同社製品の利用者に多大なご迷惑・ご心配をお掛けし改めてお詫びする。昨年10月に甲府工場、11月に辰野工場の生産を再開し、安定したトナー供給へのステップを進めている。
トレーサビリティ分析など、DXによる危険予知を含めた安全生産、安定生産の達成・維持・進化を可能とするスペシャリストの育成に取り組むべく、開発、生産・調達、工場の横断メンバーによる新組織を今年1月に設置し、再発防止を推進している。
トナーの在庫量を引き上げる取り組みでは、生産設備を増強し、万全の再発防止策により現在、従来の生産量に到達予定であり供給が滞ることはないが、今回の事故を教訓に2023年度に向け、消耗品の在庫を積み上げ、顧客がより安心できる状況に持ち込む。
次期社長として
2003年のコニカとミノルタの経営統合以降に役員となり、コニカミノルタの歴史とともに歩んできた。コニカミノルタは社会の変化を先取りし、事業ポートフォリオを変貌させ、多くの社会的価値を生み出し続けてきたが、今後も2030年に向けた経営ビジョン「Imaging to the People」を掲げ、イメージングの技術力を基盤に顧客から必要とされるジャンルトップを目指し、社会的に意義のある価値を届けるという想いに変わりはない。
一方、コニカミノルタジャパンの大須賀社長は、売上の6割を占める情報機器事業でオフィス事業、プロダクションプリント事業のDX提供力の強化と、メーカーと一体となった価値創出への体制づくりを強調。プロダクションプリント事業ではマーケティングオートメーションツールの「Printバル」や感性価値創造ソリューションの提供について言及した。