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全印工連・2022全印工連フォーラムに310人が参加
全日本印刷工業組合連合会(全印工連、滝澤光正会長)は9月30日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで「2022全印工連フォーラム」を開催。3年ぶりの開催となった今回は全国各地から310人が参加した。
当日は鳥原久資副会長(愛知県印刷工業組合理事長)が「3年ぶりに全国の仲間が集まることができた。コロナという言葉からそろそろ脱し、新たな印刷業界の未来を創る絶好の機会が訪れた。志を同じにする仲間が同じ時間に同じ場所で同じことを考えて議論する機会として充実した時間を皆さんととともに過ごしたい」と開会のあいさつを述べた。
引き続き、滝澤会長が大要次の通りメッセージを送った。
「会長に就任して以来、印刷産業の構造改革が必要と訴え、事業の中心に据えてきた。2年余にわたるコロナ禍で印刷需要は減少している。コロナが発症した当初は1年ほどで元の姿に戻るのではないかと多くの人は考えたが、コロナは数カ月ごとに変異を繰り返し、現在は第7波が終息しつつある状況にある。この先もコロナとの共生を前提に人々の暮らしや働き方、そして企業においては情報伝達や生産手段を変革する動きが浸透してきた。
全印工連2025計画で予測していた2015年と2025年の市場予測の比較では8割の市場になると予測したが、この予測をなぞる経過をたどっている。経済の8割の市場は決して一時的なものではなく、恒常的に続いていくことが想定される。加えて、資材価格の高騰が続き、日々に事業活動大きな影響を与えている。
このような状況の中で私たちは適正な価格転嫁への取り組みを得ずにして事業を存続していくことが叶わなくなってしまう。全印工連ではさまざまな中小企業施策への働きかけを行っているが、そのひとつがDXの推進である。
IoT・AI・ビッグデータ・ロボティクスなど、新しいテクノロジーが登場しているが、これらの新技術は長期的に企業を成長させる決定打ではなく、あくまでも促進剤であると言われている。
これまでにも印刷業界は飛躍的な技術革新を続けてきたが、それらは優秀であった会社がさらに優秀になったことであっても、飛躍的に優位性を変化させたものではない。しかし、これらの技術に乗り遅れた会社はやむなく衰退することも余儀なくされた。企業の存続にとってこれから重要なことはビジョンとミッションを明確にすることである。
全印工連では17年間にわたり業態変革を訴えてきた。売り方・売り物・売り先のいずれかを変革することである。そのうえで大事なことはビジョンとミッションを実現するために何を変えるかである。
ものがあふれ、価値観が多様化した現在では、変革の方向性が他社のケーススタディやビジネスモデルの真似に頼るだけでは解決できない。今後は各社が印刷をコアにお客様のニーズとウォンツに的確に応え、印刷+αのサービス、受注請負型の業態から脱却し、特長を生かした高付加価値コミュニケーションサービス産業への転換を目指さなければならない。
そのための手段としてDXへの取り組みが重要になる。DXとは単にデジタル化を進めるだけでなく、製品やサービスのデジタル化を指すものである。データを活用した業態変革、デジタル化による生産性の改善による基礎事業の変革、さらには製品やサービスのデジタル化を進め、新規事業を構築することがDXの目的である。
企業文化の変革による競争上の優位性を高めていくしかない。組合員同士が協力しあって相乗効果を図ることができる仕組みが全印工連DL―PLATである。各社がさまざまに進化することで印刷業界全体が多様性のある非同質化の状況へ進めていけると考えている。DX―PLATを自社の変革ツールとして活用し、今後も社会における重要な産業にしていきたい」
この後、各委員会(産業戦略デザイン室、カーボンニュートラルPT、経営革新マーケティング、環境労務、組織共済、教育研修、CSR推進、全青協各県青年会代表者会議)が行われたほか、江森克治氏(神奈川県印刷工業組合理事長)をファシリテーターに、「DX―PLATで手に入れよう『未来』という名の搭乗券~実践メンバーの思考と理想から読み解く印刷業の新次元〜」をテーマに掲げ、DX―PLATのプロジェクトチームのメンバーとしてトライアルを実践している川瀬健二氏(カワセ印刷株式会社)、飯尾賢氏(株式会社岐阜文芸社)、権名津隆治氏(株式会社明朗社)、今井孝治氏(今井印刷株式会社)の4氏がパネリストを務めたパネルディスカッションが行われた。