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ペーパル・世界初、お米の力でCO2を削減した紙素材「新kome-kami」の開発に成功
株式会社ペーパル(奈良市池田76ノ7)は、食べられなくなったお米をアップサイクルした紙素材「kome-kami(コメカミ)」を2021年より販売を開始しているが、11月に化学薬品を米糊に代替した新しいkome-kamiを開発。パルプをつなげるために使われる化学薬品をお米で作った糊「コメバインド」で代用することに成功し、CO2削減を実現した。
「新kome-kami」の特長としては①お米で作った糊「コメバインド」を開発し、パルプをつなげる薬品の代替に成功②お米の力を借りることで、CO2の発生を削減③ フードバンクに売上の1%を寄付し、食品ロスをなくして必要な人に巡る社会を目指すが挙げられる。
■お米の力で脱炭素を実現
同社が開発した「kome-kami」は、廃棄される災害用備蓄食品の加工米や加工流通段階で排出されるお米などを活用することにより、CO2の削減を実現。
1ロット(5トン)の紙を製造する際に化学薬品をコメバインドに代えることで約62.8kg(杉の木約7本分の年間吸収量)のCO2の排出を削減。お米を配合させることで約43.8kg(杉の木約5本分の年間吸収量)のCO2を排出せずに留めている。
■コメバインド開発のきっかけと道のり
通常、紙の強度を高めるためには化学薬品が使われており、パルプ同士の結びつきを強くしている。日本では古くからお米を接着材として使う文化があったため、同社では「パルプをつなげるための薬品に代替にできないか」という発想から開発を始めた。
お米を水に溶かして加熱し、練り続けることによって粘着性のある米糊ができる。そこで同社では、お米の配合方法や加熱の仕方など、10カ月以上かけて幾度となく試作を繰り返した。
その結果、最適な配合方法を発見することができ、これまでのkome-kamiと品質が変わらずに、代替できる品質の米糊「コメバインド」の開発に成功した。
■kome-kamiを通じて目指すこと
同製品を活用することにより、「CO2とフードロスを削減し、困りごとを抱える方をサポートする」新たな循環を広げることができる。
江戸時代には紙に米が使われていたなど、限られた資源を使いつくしていた文化があったが、この文化に習い、食べられなくなったお米をアップサイクルして価値を生み出す。その価値をフードバンクの活動に還元することにより、食べられるものは必要とされる人に届く取り組みを大きくすることができる。
同社では新しい循環の仕組みを創り、さらにこの支援の輪を広げたいと考えている。さらに、kome-kamiは古紙として回収でき、再生紙に使われるため資源として循環していく。
※世界初について:同社調べ。食用ではなくなったお米を粉砕してパルプに混ぜ、かつコメバインドを使うことで化学薬品を代替し、CO2の排出量を低減した印刷用の洋紙の事例について調査したところ、事例はなかった。