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トキワ印刷・「Jet Press 750S(厚紙仕様)」を導入

トキワ印刷(大阪府東大阪市、渡辺貞城社長)はこのほど、水性インクジェットデジタル印刷機「Jet Press 750S(厚紙仕様)」を導入し、起動式を行った。
同機の導入にあたり、渡辺社長は「老朽化した既存設備の更新を検討する中で、生産性と品質の両立を冷静に見極めた結果、最も合理的な選択だった」と語る。
更新対象となっていたのは、約18年稼働してきた従来機。修理対応の負担が増す中で同社では、更新する印刷機をオフセット印刷機かデジタル印刷機かを比較を検討。
稼働データを精査すると、時間当たりの通紙枚数は決して高くなく、少量多品種案件が増える現在の仕事構成を考えると、デジタル印刷機の方が生産性に優れると判断した。
現在、同社の主力製品は厚紙を使ったパッケージや台紙類であり、リピート案件が多く、初版と再版での色合わせ精度が強く求められる分野となる。
これまで、オフセット印刷では段取りや色合わせに時間を要していたが、デジタルであれば安定した品質を短時間で再現できる点に大きな魅力を感じた。
特に「わがままプリント」と名付けた厚紙の付け合わせ印刷・加工サービスでは、1000枚前後のショーロット案件が中心で、デジタル印刷との親和性が高かった。
機種選定では複数メーカーを比較したが、最終的に「Jet Press 750S」を選んだ理由は、品質の安定性と厚紙対応力にあった。
主力となる0・3~0・6㎜の厚紙を前提に設計されている点を高く評価。さらに、インラインでコーターを接続できる点も決め手となった。
これにより、従来オフセットで行っていた「4色+OPニス」と同等の仕上がりを、デジタルでも実現できる見通しが立った。今回採用したのは水性ニスコーティング。UVでは光沢が出過ぎ、オフセット印刷との差が生じる懸念があったため、水性で既存品質に近づける調整を重ねている。
水性ニスでの本格運用は前例が少なく、ブロッキングなど課題もあるが、「オフとデジタルを違和感なく使い分けるための重要な挑戦」と位置付ける。

渡辺社長が「Jet Press 750S」の導入効果として期待するのは、在庫削減とロス低減だ。サイズや色違いが多いパッケージでは、従来はオフセットで刷り過ぎが生じやすかった。
今後は大ロットの案件はオフセット、小ロットの案件はデジタルと明確に役割分担し、必要枚数だけを刷る体制を構築することでコスト構造の改善だけでなく、納期短縮にもつながると見ている。
2026年1月には本格的稼働を予定しており、従来の内製・外注仕事の取り込みに加え、他社向けの色校正刷りや小ロットパッケージの受注も視野に入れる。
渡辺社長は「デジタルは万能ではないが、適材適所で使えば大きな武器になる。オフセットと共存させながら、無理や無駄のない生産体制を築いていきたい」と語り、「Jet Press 750S」を軸にした次の成長段階を見据えている。
