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「page2022」展示会レポート 本紙編集委員・宮本泰夫氏(株式会社バリューマシーンインターナショナル取締役副社長)

「page2022」展示会レポート
   宮本 泰夫氏(株式会社バリューマシーンインターナショナル取締役副社長、本紙編集委員)

昨年に続き、「リセット・ザ・フューチャー」をメインテーマとして2年ぶりに展示会来場者を迎えたpage2022

 

公益社団法人日本印刷技術協会(塚田司郎会長)は、2月2日から4日までの3日間、東京・池袋のサンシャインシティコンベンションセンターTOKYOにおいて、印刷・メディアビジネスの総合イベント「page2022」を開催した。
昨年は完全オンライン開催であったが、本年は展示会をリアル開催とし、基調講演・カンファレンス・セミナーは1月31日から2月10日までオンライン配信で実施するハイブリッド形態での開催となった。
本年のテーマは、昨年オンライン開催された「page2021」と同じく”リセット・ザ・フューチャー”である。このテーマには、急激な環境変化や長期化する社会の変化への対応には、一旦全てをリセットするほどの覚悟を持った取り組みが必要となるというメッセージと、フューチャーと表現される新たな未来を創造していく契機になる展示会としたいとの意思が示されている。
「page2022」展示会は、開催直前の1月20日において出展社数125社(リアル開催されたpage2020展示会時166社)、出展小間数460小間(同562小間)であり、開催までに何社かの出展辞退があった。また、来場者数は7672人(同6万7210人)となり、開催規模および来場者数ともに縮小する結果となった。
来場者数については、今回より受付登録者実数として公表されたことから、前回比較で大幅な減少となっているものの、この状況のもとでも3日間でのべ7500名強が来場したことは、展示会に対する来場者の大きな期待を表しているものと見ることができる。また、出展社にとっても、来場者の密集を避けるために大きな制約の中での出展となった。出展ブースはゆとりあるスペースをもつデザインが採用され、ブースプレゼンテーションを中止する出展社もあったが、実施する場合には聴講者の間隔が十分に取れる配置で実施された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ここ2年の間、さまざまなイベントが中止もしくはオンライン開催となってきたが、幸いにも感染の波が落ち着いた時期に実施されたイベントには多くの来場者が集まっている。特に装置産業である印刷業界におけるイベントでは、実機の稼働展示あるいはサンプルを手に取って見られることが、来場者にとって大きな意味があることから、当初より「page2022」展示会はリアル展示を目指して準備がなされてきた。開催期間が第6波の感染拡大期と重なったことから来場者数は抑制されたものの、感染予防を徹底した中で、出展社、来場者双方の協力により有意義な3日間となった。

ホリゾンブースは実機間のスペースを大きいデザインを採用する
リコージャパンブースのブース中央はフリースペースとなった
富士フイルムのブースプレゼンテーションはゆとりある聴講レイアウト

 

■出展社は多くの制約の中で各社の役割を再定義する出展にシフト

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、従来の機材展に見られるように多くのハードウェアやソフトウェアを設置して出展することが難しいという背景もあり、同展示会では、特に出展社にとって、多数のシステムを出展できず、また多くの来場者を見込めない中で、何を訴求すべきかというのは大きなテーマになったのではないかと考える。
結果として、出展各社はそれぞれに工夫を凝らしたブースを展開することになった。あるメーカーは自社の企業ビジョンやマーケットにおける明確な役割を訴求し、あるメーカーはマーケットの声やニーズを拾い上げることで、それに対応するテーマ設定を行った。
展示される印刷サンプルについても、実際に流通したものから印刷のビジネスを見せるという形にシフトし、印刷パートナーゾーンにおいて印刷関連業から出展されたさまざまな商材やサービスも、単なる技術や製品を紹介するものから顧客や市場の課題を解決するという方向に大きく変わったことが伺える。
富士フイルムは、システム・材料販売から、持続的な企業成長をサポートするという企業ビジョンを展示ブースにおいて訴求した。最適生産ソリューション、持続的成長に向けた経営資源の強化、品質管理の最適化、オフセット工程の最適化、そしてデジタルを活用した最適化などを核として、コンサルティング、分析などを中心としたサービスにより印刷会社の持続的な企業成長をサポートする役割を担う。


富士フイルムは持続的な企業成長をサポートするビジョンを訴求

 

リコージャパンは、マーケットニーズにもとづいたテーマでの出展を行った。同社は、クライアント企業の発注担当者500名を対象にWebアンケートを実施し、その結果をもとに、印刷会社において、仕事をつくる、仕事をまわす、仕事がみえるといった3つの切り口で印刷ビジネスにおける課題解決へのアプローチを提案した。
リコージャパンはマーケットへのアンケートをもとに出展内容を構成

 

各社のサンプル展示コーナーにも変化が見られた。これまでは印刷品質や対応商材など、システムの性能を訴求する内容が中心であったが、SCREEN GPジャパンでは、ビジネス展示サンプルとして、実際に市場で流通した商材が展示された。
SCREEN GPジャパンはビジネス展示エリアとしてサンプルを展示した

 

コニカミノルタのAccurioPressのサンプル展示においても顧客名が表示された実サンプルが多く見られ、また大塚商会が展示するパートナー会のユーザ事例には多くの注目が集まった。印刷ビジネスへの具体的なヒントを提供する内容にシフトしている。
コニカミノルタのサンプル展示には顧客名を表示した実例が数多く見られた

大塚商会パートナー会のユーザ事例には多くの注目が集まった

 

こうした出展内容は、出展社が市場における各社の役割を再定義したものであると言える。これまで行われてきた横並びの印刷関連システムの展示から、自社の役割、顧客から見える姿を明確にすることで、顧客から目的をもって選ばれるメーカーになることを目指しているものと見ることができる。
印刷業が受注した印刷物を、言われた通りに言われた納期で、良いものを安く作るという製造業としての立場でビジネスができたのは過去の話である。当時は印刷システムや加工システムを保有し、モノづくりができることに価値があったが、近年はその形を大きく変えている。市場の課題は何か、顧客のニーズや課題は何かを的確に把握し、それらを満たす、もしくは解決するための提案が求められている。「page2022」展示会において、出展社がそのその役割を再定義した出展を行ったことは、そういった意味で大変意味のあることであったと考える。

 

■印刷関連技術とシステムに見る高付加価値化とビジネス訴求

【デジタル印刷関連技術の出展トレンド】

インクジェット方式のデジタル印刷技術は、非接触で印刷が可能である特徴と多彩なインクを利用することにより、その用途を大幅に拡大している。ラベル、パッケージ、サイン・ディスプレイ、建装材、写真(フォト)からノベルティ、さらにはガーメント印刷など幅広い用途での利用が期待される。
コダックは同社のコンティニュアスインクジェット技術と水性インクにより、商業印刷から軟包装パッケージ市場にむけたさまざまな印刷サンプルを展示した。リコージャパンは、大判UVインクジェット印刷と半透明基材とを組み合わせ、背面からプロジェクタによる映像を透過させるディスプレイ商材を展示するとともに、今秋にリリースが予定されているB2サイズの商業印刷向け枚葉インクジェットシステムRICOH Pro Z75がビデオにて紹介された。コニカミノルタでは、B2枚葉インクジェットシステムKM-1eに高精細出力モードが追加され、従来よりも滑らかなグラデーションやシャープな質感が得られるサンプルを展示した。ムサシは小型で厚物や製袋済みのショッピングバッグなどのサンプル展示を行った。

コダックのインクジェット技術による商印・パッケージ印刷サンプル

リコージャパンの大判インクジェットによるディスプレイ商材展示

コニカミノルタのB2枚葉インクジェットプレスには高精細モードが追加された

ムサシは厚物への印刷が可能な小型インクジェットプリンタのサンプルを展示

 

大判インクジェットでは、エプソンがレジンインクによる高精細な壁紙印刷を展示し、武藤工業は合成皮革からゴム素材など多様な機材への印刷を可能とする溶剤系のMPインクと成型後の様々な製品を展示した。ローランドD.G.ではUVインクにオレンジ、レッドインクを搭載し、高色域印刷のデモンストレーションが行われ、またAGFAは大型UVインクジェット印刷機の多彩なサンプルを展示した。

エプソンはレジンインクを利用した壁紙印刷をデモンストレーション

武藤工業は溶剤系のMPインクを利用し合成皮革やゴムへの印刷を可能とした

ローランドD.G.はUVインクにオレンジ、レッドインクを追加

AGFAのUVインクジェットによる多彩な出力サンプル

 

また、インクジェット印刷技術で注目されているのが、Tシャツなどの布素材にプリントするガーメント印刷市場での利用である。アパレル系などの商材においても、小ロット、パーソナライズ、限定生産などデジタル印刷技術の利用可能性が高まっており、小型デジタル印刷システムを利用したビジネスへのシフトが期待されている。こうした中で、リコージャパンはTシャツ向けのインクジェット印刷機RICOH Ri2000を国内初出展、三菱製紙・ダイヤミックではブラザー製のインクジェットDTFプリンタを出展した。またTシャツプリント技術と多くのサンプルを展示したクイックアートには多くの来場者が集まった。

国内初出展されたリコージャパンのTシャツ向けプリンタRi2000

三菱製紙・ダイヤミックではブラザー製のDTFプリンタを展示

クイックアートは多様なTシャツプリント技術とサンプルを展示して注目される

 

電子写真方式(トナー方式)のデジタル印刷技術は、その性能、品質面ともに市場の評価を受けるところまで到達している。近年は、システム面において、検査装置の内蔵などによる安定稼働と、色材の多色化による高付加価値化や用途拡大の2つのポイントが注目されている。page2022では、各社とも展示機は最小台数に抑えられ、実機稼働も少ない印象ではあったが、フロントパネルを開けて内部機構を説明するなど、多様なビジネスに対応できる技術面を中心に展示が行われた。
リコージャパンはPro C7200/5300シリーズを実機展示した。Pro C7200シリーズは5色印刷機構により、プロセスカラーに加えてクリア、蛍光、ホワイト、メタリックといった多様な特殊/特色トナーを利用することができるモデルとなっている。富士フイルムが展示したRevoria Press PC1120はプロセスカラーの前後に1色ずつを加えた6色構成であり、クリア、ホワイト、メタリック、ピンクを先刷り、後刷りの双方での利用が可能である。また同機はピンクを加えた5色分版を印刷機内でAIにより自動で行うことで人肌などを滑らかに出力する機能を備えている。コニカミノルタは、同社のフラッグシップ機であるAccurioPress C14000を展示した。同機の内蔵検査装置は、印字位置、色、品質を自動検査するとともに、バリアブル要素の確認までを行うことが可能であり、デジタル印刷技術のもつ柔軟性を高める機能となっている。

リコージャパンは5色印刷に対応したPro C7200および5300シリーズを実機展示

富士フイルムのRevoria Press PC1120は6色印刷に対応

コニカミノルタAccurioPress C14000は多機能検査装置を内蔵する

 

また、トナーの新技術として、花王から低温定着トナーが出展された。一般にトナーは溶融定着を行うことから高い温度が必要であり、薄膜フィルムなど熱に弱い基材への印刷は難しいという課題があった。花王は低温でも定着が可能なトナーを新たに開発し、フィルム、ラベルなど産業用途で利用可能な参考展示システムにて印刷の実演を行った。

花王は低温定着トナーを出展しフィルム/ラベル印刷向けのプリンタを参考展示

花王が展示した低温定着トナーの印刷サンプル

 

【加工技術とシステムの出展トレンド】
加工技術と小型加工システムにおいては、紙加工、製本加工に加え、オンデマンド製袋、オンデマンド製函、ワンパス両面加工など小ロット向けの多彩なシステムが展示された。加工技術は、印刷された刷本を最終製品やサービスとして仕上げる処理として注目されており、印刷会社のビジネスの幅を拡げるツールとなっている。
デュプロは3年前のpage展にて参考出展したオンデマンド封筒製袋システムを今春リリースする。同機は、印刷済みの用紙を1枚ずつ洋封筒への製袋を可能とするため、封筒表面だけでなく、中面にもパーソナライズ化されたメッセージなどを印刷して封筒を作成することが可能となる。日本製図機工業は、同社が販売する加飾加工システムScodixと半自動型の貼箱製函システムとを組み合わせ、小ロットの製函フローをデモンストレーションした。

デュプロは印刷済み用紙をオンデマンドで封筒製袋するシステムを出展

日本製図器工業は半自動型の貼箱作成システムを実演した

 

表裏同時加工として、アコ・ブランズ・ジャパンは両面同時ラミネーション機を、ヒサゴは表面のラミネーションと同時に裏面にタック加工を施すシステムを参考出展した。また、デュプロが出展したDMコレーターは、丁合システムにフィルムラッピングを接続した製品であり、指定された丁合を取りながら最終発送形態へのラッピングまでを一貫して行うことが可能となっている。

アコ・ブランズ・ジャパンは両面同時ラミネーション機を出展

ヒサゴは表面ラミ+裏面タック加工をワンパスで行うシステムを参考出展

デュプロのDMコレーターは丁合からフィルムラッピングまでを一貫処理

 

【オフセット印刷関連の出展トレンド】
印刷技術はデジタル印刷へのシフトが進んでいると言われるが、印刷会社における主力の印刷技術はオフセット印刷である。基本的な印刷技術は変わらないものの、システム、材料、運用面などの出展が行われた。
材料面では、無処理プレートへの移行が進んでいる。富士フイルムのSUPERIA、コダックのSONORAに加え、AGFAが現像レスプレートに続いて機上現像タイプの新プレートECLIPSEを展示した。また、富士フイルムはオフセット印刷工程を最適化するための分析、コンサルティングサポートを含めたソリューションを紹介した。

コダックは無処理プレートSONORAとプレートセッターを出展

AGFAは現像レスプレートに加え無処理プレートECLIPSEを展示

富士フイルムはオフセット印刷工程の最適化ソリューションを紹介

 

また、コスト削減に関わるソリューションも出展された。AGFAはオフセット輪転印刷および新聞輪転印刷において、インク量の削減を実現するスクリーニング技術SPIR@Lを参考出展した。x-rite Pantoneは、版面に印字するコントロールストリップを2mm幅まで小さくすることで用紙余白を削減できる測色ソリューションを実演した。既存の色味台に設置することができるほか、測色結果を印刷機のコントローラにフィードバックする機能までを備えている。

AGFAはオフセット輪転印刷においてインク削減を行うスクリーニングを参考出展

x-rite Pantoneは2mm幅のコントロールストリップを読み取る測色機を実演

 

■自動化・省人化・省力化とDXへのアプローチ
【システム連携による自動化と省力化】
製造業においては、デジタル技術の普及や少子高齢化からの労働人口の減少に伴い、自動化や省力化、省人化の技術には注目が集まる。印刷産業においても、ソフトウェアやハードウェアをデジタル技術により連携させるスマートファクトリー化への流れが進んでいる。
ホリゾンは、デジタル印刷システムと加工システムを連携させることで、シートカット加工や製本加工を自動化するシステムをプリンタメーカーと協同でデモンストレーションを行った。リコージャパンとはカッター・クリーサを、コニカミノルタとはダイカッターをインライン接続して印刷から加工までの一貫処理を行っている。コニカミノルタとの連携では、排出部にロボットアームを接続し、帯掛けからコンテナ投入までを自動化しており、同社によれば、同一処理を全て人手で行う場合と比較して、人員は3分の1に減少させることができるという試算がなされている。理想科学工業とは無線綴じ製本システムとをロボットアームを介して接続し、印刷しながら自動製本する流れが実演された。製本処理が不要な場合は印刷機単体での利用も可能となる柔軟な連動が可能となっている。

ホリゾンとリコージャパンのインライン接続によるカットシステムライン

ホリゾンとコニカミノルタのインライン接続によるカットシステムライン

理想科学工業とホリゾンのインライン接続による製本システムライン

 

デュプロはフチ糊加工を行うライングルーシーラーにロボットアームを接続し、工程間の受け渡しの自動化を図っている。また、AGFAは、刷版搬送などを組み合わせてオフセット印刷工程全体を自動化するファクトリーオートメーションを推進しており、デジタル印刷ばかりでなく、オフセット印刷までを含めたスマートファクトリー化の提案は今後も増加するものと見ることができる。

ロボットアームを備えたデュプロのライングルーシーラー

AGFAのファクトリーオートメーションはオフセット工程全体を自動化

 

【ワークフロー・協働システム・マーケティングによる自動化と省人化】
生産システムやハードウェアを自動化するためには、ソフトウェア技術は不可欠なものとなっている。受注から経営情報などの幅広い情報管理を行うMISや、生産システムをモニタリングする工程管理システムなど、自動化、省人化を実現するためのさまざまなツールが出展された。
また、デザイン・制作など複数のスタッフが協働作業をクラウドで支援するシステムや、顧客マーケティングプロセスを上位システムとして印刷工程に組み込むシステムなどの提案も増加し、製造ばかりでなく印刷ビジネス全体の自動化、DX化の流れが加速している。
MISの分野では、page2022期間中にプレス発表が行われた印刷革新会にも採用されたJSPIRITSのPrintSapiensや、クラウド型見積システムを組み合わせた両毛システムズのPrinTact、さらに印刷会社が開発してサポートまでを行う木野瀬印刷のMIクラウドなどが展示され、工程管理、運用管理とシステムモニタリングを行うシステムとしては、富士フイルムのRevoria One、ホリゾンのiCE LiNKが会場および遠隔地で稼働する実機の稼働状況をモニタリングした。

JSPIRITSのMISであるPrintSapiensは印刷革新会にも採用された

両毛システムズはクラウド型見積システムを組み合わせたDXを提案

木野瀬印刷のMIクラウドは印刷会社が開発・サポートまでを行う

システムモニタリングと運用管理を行う富士フイルムRevoria OneとホリゾンiCE LiNK

 

また、ビジュアル・プロセッシング・ジャパンは、クラウド環境でデザイン・制作などのプリプレス工程を協働作業できるシステムを提案し、SCREEN GPジャパンでは、異なるシステム間のデータの受け渡しを行うミドルウェアを出展した。複雑な工程をミスなく効率的に運用する技術も今後益々重要な要素となっていくと考えられる。

VPJはクラウド環境でデザイン・制作工程を協働作業できるシステムを提案

SCREEN GPジャパンは各種システム間のデータを受け渡すミドルウェアを出展

 

また、印刷会社は製造業という側面だけでなく、顧客へのソリューション提供が求められることから、顧客ビジネスのマーケティング面でのサポートにも注目が集まる。展示会場にはマーケティングサービスゾーンが設けられ、ルグラン、コニカミノルタ、サブライム、Brushupの4社が展示を行った。また、コニカミノルタは、マーケティングオートメーションツールとしてPrintバルを紹介するとともに、顧客の購買行動とデザインを結びつけるEX感性サービスを紹介した。

特設ゾーンとして設けられたマーケティングサービスゾーン

コニカミノルタはMAツールとしてのPrintバルに加えEX感性サービスを紹介

 

【実用フェーズに入る検査装置】
オペレータの目視検査や調整を自動化する検査装置は、そのコスト面においても実用化のフェーズに入ってきた。検査内容も印刷不良だけでなく品質や色までをカバーし、エリアから印刷面全面、さらには全面バリアブル検査までを行えるシステムが登場している。また検査装置は単体での運用に加え、印刷・加工システムへのインライン搭載も増加しており、特別な工程ではない運用になりつつある。
マイクロ・テクニカは全面検査が可能な検査システムにRFIDのリーダー/ライターをインライン搭載し、封筒内に封入されたコードを読み取り、その情報をもとに印字、検査を行うラインをデモンストレーションした。
ダックエンジニアリングは、ホリゾンをはじめとして様々な印刷、加工システムへのインライン搭載が進められている。また、GTBは刷版検査を含め多様な工程に検査装置を提供、昨今のテレワークを意識した検査ソリューションも提案された。ジクスは、抜取り検査、インライン検査、フルバリアブルの3種の検査装置を紹介し、シリウスビジョンは、高速・全面検査を小型のコンベアシステムを用いてデモンストレーションしており、今後幅広いシステムへのインライン搭載が期待される。また、プロスパークリエイティブは色調までを含めた検査ソリューションを展示し、SCREEN GPジャパンは、折り畳むことにより持ち歩きが可能な標準光源の色味台を展示した。

マイクロ・テクニカは検査装置にRFIDのリーダー/ライターを搭載

ダックエンジニアリングは各種装置へのインライン搭載が進む

GTBは刷版検査を含め多様な工程に検査ソリューションを提案

ジクスは抜取り/インライン/フルバリアブルの3種の検査装置を紹介

シリウスビジョンは高速・全面検査を小型システムで実現

プロスパークリエイティブは色調までを含めた検査ソリューションを展示

SCREEN GPジャパンは折り畳み式の標準光源色味台を展示

 

■環境問題・SDGs・抗菌など社会的課題への対応
環境問題や2030年までの持続可能な開発目標であるSDGsなど、社会的課題への対応については、印刷産業においても重要なテーマであると言える。脱ブラに対応した買物袋の削減などの身近な話題から、紙容器への転換など印刷産業とも密接に関わる様々なテーマがある中で、社会的な要請でもある抗菌・抗ウイルスなどへの対応を含めて。本展示会においても様々な切り口での提案がなされた。
山櫻はFSC認証紙やバナナペーパーなど印刷基材を出展し、印刷会社がすぐに取り組むことができる社会的課題への対応について提案した。また、長井紙業は抗菌処理を施した伊予和紙の商品を展示し、新星コーポレイションからは欧州の抗菌規格であるLock3とその印刷産業での利用実績を紹介するなど、現在のコロナウイルス感染に対する課題解決について訴求を行った。
システム展示としては、トヨテックが抗菌ニスの塗布を可能とする水性ニスコーターを出展した。また、ホリゾンは紙ファイル作成システムにより、従来のプラスチック素材のクリアファイルを紙に置き換える脱プラ提案を行った。理想科学工業の油性インクを利用したインクジェットプレスは、乾燥装置が不要な省電力システムであり、電力・エネルギー問題などへの取り組みに通じるものである。同様にエコリカ、サンケン電気、テルサントの共同ブースにおいては電力を削減しながら照度や色味を保持する照明システムが提案された。

山櫻は印刷会社がすぐに取り組めるSDGsとしての用紙提案を実施

長井紙業は抗菌処理を施した伊予和紙による印刷商材を展示

新星コーポレイションは欧州の抗菌規格Lock3に対応した印刷実例を紹介

トヨテックは抗菌ニスを塗布する水性ニスコーターを展示

ホリゾンの紙ファイル作成システムはクリアフォルダをプラスチックから紙へ転換

理想科学の油性インクは乾燥装置が不要で省電力・省エネルギー仕様

エコリカは電力を削減しながら照度は色味を保持する照明システムを紹介

 

■印刷パートナーゾーンに見る印刷会社の強み・技術・商材
印刷会社が中心となって出展が行われた印刷パートナーゾーンでは様々な興味深い商材やサービスに出会うことができた。顧客からの要望は今後益々多様化が進むことになる一方で、印刷会社が顧客に向けた提案を行っていく上では、自社の強みや、数多くの引き出しを持つことが重要になる。そういった意味で出展された内容は大変興味深いものであった。
特定商材に特化するという出展では、和歌山印刷所の伝票印刷、メモ帳や付箋紙に特化したアーリークロス、圧着DMに特化したメイセイプリントや圧着ハガキファクトリーなどが挙げられる。松浦紙器製作所は実用新案登録済みの飛び出すパッケージをもって海外展示会への出展も進められている。ジャグラ高知の西村謄写堂は、20gsmの超薄紙にオフセット印刷技術でフルカラー印刷が可能である技術をビデオおよびサンプルで展示した。東洋美術印刷は、印刷会社として保有する撮影および色再現技術を活かして3D CG作成サービスが紹介された。CG作成において重要な照明技術を撮影技術から、最終的な品質は印刷の色再現技術によるものである。また、木戸製本所、田中紙工、菁文堂、東京製本二世連合会などから、特徴咳な製本加工技術と商材が紹介された。

伝票印刷に特化した和歌山印刷所

メモ帳や付箋紙に特化したアーリークロス

圧着DMを強みとするメイセイプリントは分析型DMを紹介

圧着ハガキファクトリーはパーソナライズ化とFSC対応を訴求

飛び出すパッケージで海外進出までを予定する松浦紙器製作所

ジャグラ高知の西村謄写堂は20gsmの超薄紙にフルカラー印刷が可能

東洋美術印刷は撮影および色再現技術を強みに3D CG作成サービスを紹介

木戸製本所はWeb見積システムを開発しオンライン進出を行う

田中紙工は丁合・抜き加工を武器にトランプをサンプル配布

菁文堂は加工技術を武器に課題解決と新商材の提案を行う

東京製本二世連合会は多様な製本加工を展示

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