イベント情報
春風が運ぶ最新技術、印刷の未来を開く「JP2025・印刷DX展」がもうすぐ開幕
72社・177小間の規模で最新情報を発信
「印刷新時代~真価づくりに応える印刷技術~」をテーマに掲げ、JP産業展協会(作道孝行会長)主催による「JP2025・印刷DX展」が、3月13日(木)・14日(金)の2日間、大阪市住之江区のインテックス大阪3号館を会場に開催される。
「印刷DX展」と名称を変更して5回目の開催となる今回は72社・177小間の規模に、生産性向上・品質管理・環境対策などを実現する製品・サービスが披露されるほか、新たな需要を生み出すドアノックツールも数多く紹介され、「次に起こる変化への対応策」に向けた最新情報が発信される。
出展内容は①デジタル化・DX対応②差別化を実現するプリンター③品質検査装置④環境・SDGs対策製品⑤生産性向上・作業環境改善⑥付加価値を創造する加工機⑦中古機買取⑧販促アイデア製品に分類される。
近年の印刷関連技術のトレンドを一言で表現すれば「デジタル化」という言葉に行き着く。プリプレスのデジタル化に始まり、デジタル印刷技術の普及、近年ではワークフローのデジタル化・自動化・省力化を実現するさまざまなソリューションが提案されている。
印刷物の小ロット化・多品種化が進む中で、ペーパーメディアをマーケティング施策のツールとして利用する機会が増加していること、さらにIoTやAI技術の普及、少子高齢化に伴う労働人口の減少など、外部環境の変化も印刷関連産業におけるデジタル化を後押しする要因となっているものと言える。
「JP2025・印刷DX展」の会場で披露されるデジタル化への対応製品・サービスでは、「見える化」による生産システムの可視化から最適化、デジタル印刷技術の利用、ワークフローオートメーションなどの自動化・効率化施策、さらには自動化のひとつのキーとして検査装置が挙げられる。
また、JP展には他の印刷機材展とは異なる大きな特長として、「販促アイデアグランプリ」を通じて数多くの印刷会社も出展している。
出展する印刷会社の動向を見ると、各社ともに「何かに特化」した強みを持っている。
特殊分野では、特殊印刷や加工技術により、これまでにはない質感や表現を可能とし新たな付加価値を生み出す製品、特殊素材への印刷によってペーパーメディア以外の新たな市場への印刷産業の拡大提案といった内容も数多く見られる。
特化分野では、技術面はもちろんのこと、そのビジネスの切り口や視点、コンセプトなど、出展各社の特長が訴求され、興味深い出展が多く見られる。
紙媒体の需要の減少や小ロット・多品種化の流れの中で、これまでの受託製造業から脱却し、そのビジネスの方向性や訴求方法を転換する時期にあり、「特殊・特化」といった視点での出展各社からの情報発信は大きなヒントになる。
さらに、多くの印刷関連機器・材料メーカー、印刷関連業に共通して注目されるのが「サステナブル・SDGs・環境対応」というテーマがある。
かねてより環境対応という観点から、企業の社会的責任という内容は印刷関連業においても議論がなされてきた。近年では、CSRレポートを年次発行することで、企業としての取り組みを開示する印刷会社も少なくない。
そうした流れは、2015年の国連総会で採択されたSDGs(Sustainable DevelopmentGoals・持続可能な開発目標)として、幅広い内容で世界的な潮流へと引き上げられ、国内のさまざまな分野、企業における取り組みへとつながっている。
また、SDGsの中には労働者を守るという視点も含まれている。印刷関連業を含む製造業においては、従業員の安全面や作業環境面への配慮も重要な要素となっている。
他方、新型コロナウイルスの感染拡大の中においては、抗菌・抗ウイルス適性を持つ印刷物の提供など、印刷関連業の製品開発に新たな方向性を見せてきた。社会を守り、持続可能性を高めるという見方では、これもひとつの社会的責任と考えることができる。
こうした課題への対応を図る手段が一堂に展示される「JP2025・印刷DX展」の開催が印刷業界のさらなる発展への起爆剤となることに期待が寄せられている。
初日15時から特別パネルディスカッション
「JP2025・印刷DX展」の会期中には次の併催イベントが行われる。
■特別パネルディスカッション
「JP2025・印刷DX展」の初日となる3月13日(木)の午後3時より、会場内に設置されるセミナールームで「JP2025開催記念特別パネルディスカッション」が開催される。
当日は「印刷もできる業態変革とは?~ものづくりをしながら継続受注するための手段教えます~」をテーマに掲げ、岡本泰氏(株式会社クイックス代表取締役社長)がコーディネーターを務め、大洞正和氏(大洞印刷株式会社・代表取締役)、岸昌洋氏(株式会社正文舎・代表取締役社長)、黒木伸治氏 (株式会社アーツ・代表取締役社長)の3氏をパネラーに迎え、印刷業が従来の枠を超え、新たなビジネスモデルを採り入れることによって、生き残りや成長を目指す戦略を指し、印刷サービスの提供に留まらず、付加価値を加えた業態へと変革する業態変革について意見を交換する。
パネルディスカッション終了後には、インテックス大阪の近くに位置するクインテッサホテル大阪ベイを会場に、パネラー各氏と参加者による情報交換会(会費制・1名8000円)も実施される。
■特別対談
3月14日(金)の午前11時からは会場内に設置されるセミナールームで「生成AI×印刷業~生き残る企業の条件・共闘のススメ」をテーマに掲げ、大橋慶三氏(株式会社光文堂販売推進部次長)と宮本泰夫氏(株式会社バリューマシーンインターナショナル 取締役副社長)による対談が行われる。
印刷会社が生成AIと上手に付き合うためには、AIの特性を理解し、適切に活用することが重要となる。
生成AIを活用することにより、デザイン補助やレイアウトの自動化に活用でき、作業の効率化を図ることができるようになる。例えば、AIを使って複数のデザイン案を短時間で作成し、最適なものを選ぶといった活用法がある。
また、顧客のニーズに応じたパーソナライズ印刷にもAIは活用できる。可変データ印刷(VDP)と組み合わせれば、個別最適化された印刷物の作成が可能となる。さらに、AIによる文字校正や画像補正機能を導入することで、品質管理の精度を向上させることもできる。
ただし、著作権やデータの信頼性には注意が必要となる。生成AIが作成したコンテンツの権利関係を確認し、適切な管理を行うことでリスクを回避できる。また、AIに依存し過ぎず、人の創造力を活かした付加価値の高いサービスを提供することが、競争力を維持する鍵となる。
今回の対談では、印刷業界での有効な使い方、著作権などの留意展などから、営業部なども含めた会社全体で取り組むメリットとさまざまな解決策まで、多岐にわたって解説する。
■「販促アイデアグランプリ2025」
近年の販促市場では消費者の購買意欲を高め、さらなる消費行動を後押し、顧客との接点をより深いものとすることが重要視されるようになってきた。
「販促アイデアグランプリ2025」では、出展企業約25社から集客・販売を支援する多彩なセールス・プロモーション、最先端の印刷技術などのSP関連商材が数多く展示される。
メーカー・ベンダーが導く未来
激変する社会環境の中にあって印刷業界が直面する課題は少なくない。今後、デジタル化の進展に一層の拍車がかかることは間違いなく、その勢いは新型コロナウイルスの感染拡大によってより加速することとなった。
さらに、急激な少子高齢化に直面しているわが国では、労働力人口がすでに減少に転じており、2007年以降には団塊の世代が定年を迎えることで、さらなる減少が見込まれている。
こうした課題に対応するためには誰もが意欲と能力に応じて働ける職場環境を整備することが急務となり、人事労務管理全般についての見直しを行う上で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」への対応が急務となってきた。
印刷工場の生産管理にIoTを導入するDXは、生産性向上に大きく貢献する取り組みのひとつとなる。そして、生産性を向上させたうえで、最も重要なことは収益を確保することである。
これまで売上重視の傾向が強くあった印刷業界では、生産設備の稼働率を高めるために過当競争が激化しているが、これからの時代は単品の仕事がどれだけ収益が確保できているのかを見つめ直さなければ、企業は継続できないと言っても過言ではなくなってきた。
「JP2025印刷・DX展」に出展するメーカー・ベンダーからは、印刷業界がさらに発展を遂げるための生産性向上・品質管理・環境対策など、直面する課題を解決するための打開策が一堂に披露される。
現状を打破し、未来に向けた企業のあるべき姿を考察する機会となることに期待が集まっている。
印刷会社が創り出す価値
近年、メディアの多様化によって消費者の購買意欲に大きな変化が見られるようになってきた。
セールス・プロモーションとは、キャンペーンなどを利用して、消費者の購買意欲や流通業者の販売意欲を引き出す取り組み全般であり、プル戦略が中心とされている。
広告などのプル戦略で喚起した消費者の関心を実際の購買に結びつけるのが主目的であるため、即物的な側面が強くある。そうした環境下にあって、印刷物の果たす役割も大きく様変わりしてきた。
今後、印刷業界の市場が縮小していくことは否めないが、印刷は広告業界や出版業界など、社会の文化芸術を支えている業界である。人々が生きるうえで「コミュニケーションがなくなることは決してない。
紙媒体が減少していくとはいえ、新たな事業形態を展開することで環境の変化に適応し、「情報を広く伝達する」といった点で印刷業界は重要な役割を担っている。
印刷会社だからこそ可能となる技術を駆使した価値を高めた成果物を市場に投入するとともに、紙への印刷にとらわれず、印刷とWEBを連動させた情報伝達手段の掛け合わせを提案し、人々の毎日を豊かにすることこそが、印刷業界の使命となってきた。
「JP2025・印刷DX展」では、印刷会社が印刷技術を核として誕生したアイデア製品も数多く披露され、協業するパートナーを募集することで販路拡大と需要創出を出展社と来場者で意見交換し、クライアントに印刷会社だからこそ提案できるドアノックツールを探し出す機会になることが期待されている。