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【2023年・年頭所感】公益社団法人日本印刷技術協会・塚田司郎会長
新年明けましておめでとうございます。コロナ禍での生活も3年間が過ぎ、今年は4年目となりました。昨年は春以降、経済活動も徐々に戻ってきてアフターコロナの世界を考えた企業も多かったと思いますが、夏からは再び変異株が猛威を振るい、それも秋になってようやく収まりましたが、人流が緩和されると冬にはまた感染者数が多くなっている状況です。
2月にはロシアがウクライナに侵攻し、世界中を震撼させました。コロナ禍にありながらも回復基調であった世界経済ですが、各国がロシアに対して制裁を課した影響で原油の高騰を招きインフレ圧力が高まりました。
米国ではインフレ抑制のためFRBはハイテンポで政策金利を上げている一方、日銀はゼロ金利政策を継続しているため、金利差により急速な円安となり輸入価格が上昇、食料品や日用品の相次ぐ値上げにより家計を圧迫しています。
こうした状況下、企業にとって目下の課題は戦争と円安によるエネルギー価格の急激な上昇です。わが国の経常収支は減少を続け、昨年東京では東京電力が決定した燃料費調整金により、秋からの電力代が大幅に上昇して企業の活動にかなりの影響を与えています。
日本印刷産業連合会は日本経済新聞に広告を打ち、高付加価値コミュニケーション産業へと業態を転換させるべく新たな取り組みにチャレンジしていることにも触れながら、需要家に対しエネルギーや原材料の価格高騰の現状と価格転嫁への理解を求めました。
プレーヤーの多い印刷業界においては、積極的に業態を転換させる努力をしている企業も多くある一方で、残念ながらそうでない企業もあって、後者の場合は変化し続ける現代社会のニーズに適合できずにやがて融資も滞ることが予想されます。
今後は業界の再編がさらに進むのかもしれません。SDGsの観点から現代の自動車を見ると、CO2排出抑制のためハイブリッドカーやEVが増えて、またドライバーの負担を軽減し事故を防ぐためにも自動運転の機能が導入されています。印刷機もこれに似ていて自動運転すればオペレーターの負担が軽減され、高齢者や女性でも扱いやすくなり、小ロット化している印刷物には、オフセット印刷するのではなくデジタル印刷機で生産できれば資源効率が高まることになります。昨年の「IGAS」ではそのような現実的なインクジェット機もいくつか見られました。
新型コロナウイルスの流行による需要減や資材価格の上昇、戦争によるエネルギーコストの高騰などボラティリティの高い現代において、ESG経営を実行 するには例年よりも限られている貴重なキャッシュフローを社会の新しい変化に対応する経営資源や事業に向けなければなりません。
JAGATの今年のテーマは「創注」です。今年もpage2023でお会いしましょう。