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大日本印刷・包材や産業資材等に使える紙製ハイバリアモノマテリアルシートを開発

リサイクルしやすい単一素材で酸素や水蒸気をバリアする製品を国内外に展開

大日本印刷株式会社(北島義斉社長、以下:DNP)はこのほど、紙の単一素材(モノマテリアル)で構成することでリサイクルしやすさを高めながら、酸素や水蒸気等への高いバリア性を持つ環境配慮型のパッケージ用シートを開発したことを発表。食品・化粧品・医療品等のメーカーに向けて包装資材として、また、より幅広い業界に向けて各種産業資材として、国内外の市場に提供していく。
気候変動や地球温暖化、プラスチックによる海洋汚染等の環境課題の解決に向けて、近年特に各国・地域での脱炭素の取り組みやESG投資などが加速している。
プラスチック製品については、世界中の企業や生活者がリデュース・リユース・リサイクルの取り組みを展開し、メーカー各社も植物由来の材料や堆肥化可能な生分解性の材料を使用した製品の開発・提供によって、環境負荷の低減に努めている。
DNPはこうした課題に対して、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」のラインアップ拡充に努めている。その一環として、単一素材(モノマテリアル)で製品を構成することでリサイクル性を高めたモノマテリアルパッケージを展開している。
さらに、今回開発した「紙製ハイバリアモノマテリアルシート」は、これまでの石油由来のプラスチックフィルムではなく、植物由来の再生可能資源である紙を使うことでCO2排出量を削減し、循環型社会の実現にもつなげていく製品となっている。
DNP独自のコンバーティング技術によって、従来は困難だった紙へのバリア性付与に成功し、フードロスの削減にもつながる長期保存・鮮度保持などを可能にする。
■紙製ハイバリアモノマテリアルシートの特長
▽紙でありながら高いバリア性を実現
紙は、繊維の間に細かいすき間がある多孔質構造であるため、酸素や水蒸気等をバリアすることが難しく、包装材に使用した際に内容物を長期間保護することが困難であった。
この課題に対してDNPは、独自のコンバーティング技術で紙素材にバリア性を発現させた。これまで紙では難しいとされてきたハイバリア域である酸素透過度(OTR)0.5cc/m2・day・atm以下、水蒸気透過度(WVTR)0.5g/m2・day*3以下に高めることに成功した。
また、耐屈曲性能の向上を図り、折り曲げ加工後のバリア性の劣化を最小限にした。さらに、基材の紙については特殊な紙を選択する必要がなく、一般的なクラフト紙を使用している。
■透明ハイバリア膜を有するモノマテリアル化でリサイクル性を高めるとともに、電波透過性も向上
バリア性を高めるコート膜(ハイバリア膜)にアルミニウム等の金属材料を使用せず、紙の単一素材(モノマテリアル)で構成することで、リサイクル性を高めている。このハイバリア膜は、透明材料の薄膜層で構成されており、薄くて導電性がなく、電波の透過に全く影響を及ぼさないため、RFID等の利用も可能。同製品のバリア膜には、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を使用しておらず、製品全体に対して紙を重量比で80%以上使用している。
■パッケージ用途では、ヒートシールが可能
紙を重量比80%以上使用することでリサイクル性を高めた素材でありながら、透明で高いバリア性のコート層を持つとともに、熱で溶着させ封止することが可能なヒートシール層を有している。
今後の展開としては、食品・化粧品・医療品等の包装資材や、より幅広い業界の各種産業資材として、現在の開発段階から製品化に向けた検証を進め、実用化を目指す。
なお、DNPは、2022年10月12日(水)~14日(金)に東京ビッグサイトで開催される「TOKYO PACK 2022 (2022東京国際包装展)」にて同製品を紹介する。

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