ＯＳＰグループ・環境配慮型の印刷を推進するデジタル印刷工場を札幌市内に開設

シール・ラベル、フィルム製品、紙器パッケージ、販売ツールまでをワンストップで製造するOSPグループ（大阪市天王寺区、松口正社長)は9月28日、シール・ラベルのデジタル印刷工場「DIGITAL PRINT BASE in Hokkaido（以下DPB）」（運営は大阪シーリング印刷株式会社）を札幌市白石区に開所した。
同工場は、OSPグループで15番目の生産拠点および次世代デジタルコンパクトファクトリーの第1号拠点となり、「リードタイムの短縮」「冬場の安定供給」「小ロットにおけるCO2の削減」の実現を目指している。
北海道地域のシール・ラベル需要へのスピーディーな対応および環境に配慮した印刷の推進を行う未来志向の工場として運営していく。

■DPB開所の背景・目的
OSPグループは、1927年以来、シール・ラベル領域でナンバーワンのシェアを誇るリーディングカンパニーとしてデザイン・印刷・製品化までを一貫生産で対応してきた。
長年の経験から北海道でのリードタイムや運搬コスト高に対して、デジタル印刷に特化したコンパクトファクトリーを開所することにより、これまでの同社の工場とは異なる新形態のビジネスモデルを確立させた。
DPBでは、小ロットのデジタル印刷を用いることで、輸送時におけるCO2の排出や廃棄物の減少にも取り組むことが可能となった。 道内のニーズに合わせて既存工場と新形態の本工場を使い分けることにより、生産効率向上と環境配慮を目指している。

■DPBの特徴
（1） 環境負荷の少ない水性インクを使用したデジタル印刷機が主体
サステナビリティの観点から、環境負荷の少ない水性インクを利用したデジタル印刷機を主体としている。 従来の凸版輪転印刷に比べ原紙ロスと溶剤の使用量が圧倒的に少なく、環境に配慮した印刷方式を採り入れている。
（2）省人化への取り組み
来る少子化や人手不足を見据え、これまで職人による手作業である型抜き作業も自動化し、行程全体で省人化への取り組みを加速化する。今までにないクリーン印刷工場をテーマに、広々とした空間づくりをしている。遠隔で操作が可能なため、室内は消灯したまま稼働する。
（3）無版と廃棄物・廃液の減少によるECO
デジタル印刷は、アナログ印刷時の初期工程である鉄板や樹脂を使った版が不要になるため、版づくりのための洗浄液や基材、版や型の廃棄自体が不要になる。また、使用するインキも減少することからインキ缶も減るため、複数の工程においてECO活動につながる。
（４）「お客様用ミーティングルーム」設置によるスピーディーな対応スピーディーで適格な対応を実現。顧客に立ち寄ってもらえる工場とすることで、顧客ニーズを直接ヒアリングし、生産へ即時反映することを可能にとした。

■「DIGITAL PRINT BASE in Hokkaido」の施設概要
▽施設名：DIGITAL PRINT BASE in Hokkaido
▽所在地：北海道札幌市白石区中央2条3丁目1-55
▽事業内容：デジタル印刷方式によるシール・ラベル製造
▽設置機械：デジタル印刷機2台、レーザー加工機1台、シートカット機1台、巻取り仕上げ機1台

■今後の展開
OSPグループでは、納期短縮や省人化推進のため、将来的には顧客とオンラインで色校正を行える遠隔色校正システムを導入し、各工程においてデジタル化を推進していく。
今後は、製品提供エリアを細分化したサテライト型工場を全国各地に増やし、さらなる顧客への納品スピード向上と運送時に発生する CO2の削減を実現していくと同時に、印刷のデジタル化を推進することにより、同社が目指す省人化のレベルを加速させる。
さらに、デジタル印刷では小ロット対応が可能なため、小売業界、農産・畜産・水産業界、食品加工製造業など、さまざまな業界に視野を広げ、北海道の地に根付く取り組みを行っていく。

■松口社長挨拶

9月28日に行われた「DIGITAL PRINT BASE in Hokkaido」開所式で松口正社長は「大阪シーリング印刷は1927年の創業以来95年を迎え、北海道への進出は1976年の札幌営業所開設以来、48年になる。札幌は1972年の冬季オリンピック開催を皮切りに日本を代表する世界的な観光地として注目され、現在では北海道全土にその広がりを見せている。また、2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致にも機運が高まり、北海道日本ハムファイターズの本拠地移転や北海道新幹線の延伸など、今後も札幌、北海道の経済、観光ともに発展が期待される。
当社はこれまで北海道に生産拠点を持っておらず、物理的な距離のハンデからお客様にご迷惑をお掛けしていた。また、近年の通信技術の高速大容量化は生活者の情報のリアルタイム化や映像コンテンツの多様性、eコマースやデリバリーサービスのスピーディーな対応へと欲求は高まる一方である。
これら北海道のさらなる経済成長への期待に応え、生活者の皆様の生活を豊かにするお手伝いをさせていただくには、生産拠点は不可欠であると判断し、「DIGITAL PRINT BASE in Hokkaido」をオープンするに至った。
デジタル印刷専用工場が故に生産品目については限りはあるが、デジタル印刷が故にコンテンツの発想は無限に広がると信じている。幸いスペースには余裕があり、お客様との情報交換の場として成長させていければと思っている」と語った。