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大日本印刷・断熱紙カップの製造時の余分な紙を同じ製品に“水平リサイクル”することを目指す実証実験を開始
大日本印刷株式会社(以下DNP)はこのほど、「DNP断熱紙カップ HI-CUP」の製造工程で発生する余白等の製品にならなかった部分の紙(工場損紙)を使い、グループの工場で製品化する“資源循環システム”の構築に向けた実証実験を開始した。
今回、これまで産業廃棄物処理していた横浜工場(神奈川県)の断熱紙カップの工場損紙をすべて活用し、2層構造である同製品の外装紙(古紙)として再度製品化(水平リサイクル)することを目指す。
DNPは2016年に、“資源循環システム”の運用の第一弾として、包装材を製造する田辺工場(京都府)にて、DNPの国内各拠点の応接室等で使う「コースター」を、工場損紙を使って製品化しており、今回はその第二弾の取り組みとなる。
近年、人々の暮らしや経済活動等で消費されるエネルギーが増大し、天然資源の枯渇や資源採取による自然破壊等が加速する中、CO2排出量の削減や自然資源の保全が世界的な緊急課題となっている。
こうした課題に対して、日用品・食品メーカー等やDNPでは、木材の乱伐による森林破壊を防止するため、森林認証紙(適切に管理された森林の木材を使用した紙)や再生紙等を積極的に採用し、環境に配慮した持続可能な紙の利用を進めている。
DNPはまた、1998年以来、断熱性を高めることで温かい食品をそのまま喫食できる「断熱紙カップ」を開発・提供している。
同製品は、ポリエチレン層がある内側の紙カップと外装紙で構成しており、従来はこの両方を同時にリサイクルできる製紙会社がないため、工場損紙は産業廃棄物として焼却していた。
今回、この課題の解決に向けた“資源循環システム”の構築を目指し、「DNP断熱紙カップ HI-CUP」の工場損紙を資源として再利用していく実証実験を開始した。
この“資源循環システム”は、製紙会社と連携し、断熱紙カップの工場損紙を再び同製品の外装紙のパルプ原料の一部として使用するもの。紙のリサイクルでは、古紙が再利用される度に徐々に製品の品質が劣化するという課題があるが、余分ではあるものの未使用の紙を含んだ工場損紙を使う本システムの構築によって、品質の劣化防止につなげていく。
今後の展開としてDNPは実証実験を進めて本“資源循環システム”を確立し、グループの各工場への展開を図っていく。また、事業拡大と地球環境保全の両立を常に心がけ、多様なステークホルダーとの連携を強化することで、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをさらに推進していく。