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GSアライアンス・生分解性樹脂とヒドロキシアパタイト複合体を用いて、人工骨や再生医療における細胞の足場材料にも応用できる可能性のある材料を3Dプリンターで印刷

脱炭素、カーボンニュートラル社会構築のための環境、エネルギー分野向けの最先端技術を研究開発するGSアライアンス株式会社は、同社で開発している生分解性樹脂や、合成しているヒドロキシアパタイト複合体を用いて、人工骨や再生医療分野における、細胞を培養する足場材料にも応用できる可能性のある材料を10月21日に3Dプリンターで印刷することに成功したことを発表した。
人間の社会生活においては、骨腫瘍、骨肉腫、骨髄炎、人工関節のゆるみ、骨折など、さまざまな原因により骨が失われることがある(骨欠損)。
この骨欠損の修復に対して、亡くなったドナーからの同骨種を用いることも可能ではあるが、ウイルス感染などの懸念や、宗教上などの理由などからハードルが高くなっている。
一方で、自家骨移植と呼ばれる自分の腸骨や腓骨から採取した骨を患部へ移植する方法などがあるが、採取量に限界があり、採取した部位に痛みが高い確率で発生することも知られている。
そこでこれらの代替えとして骨補填材や、人工骨の研究開発が行われており、その使用頻度、期待は年々高まっている。初期の人工骨は強靭さを求めてチタンなどの金属やセラミックスなどで作られていた。しかしながら、硬いがゆえに骨組織となじみにくい、子供には長期にわたっての使用が難しいなどの問題あった。
この問題に対して1980年代から、新素材としてヒドロキシアパタイト(骨の無機成分であり、生体親和性が高く、コラーゲンなどのタンパク質の吸着特性を有するバイオセラミック材料)を使用した人工骨や、β-TCP(リン酸三カルシウム)を使用した吸収置換型人工骨が開発されたことにより、人工骨への需要、期待は一気に高まった。
それでも、移植先に加工して移植するには、硬く形状が合わせにくいなどの課題があり、これに対して、粉末、ブロック、軽石状のものなど、さまざまな形の材料が開発されたが、実際の手術には使用しにくいなどの問題点があった。
自分の骨に近い組織構造を再現するためには、高い精度で正確な3次元造形する必要がありる。この点3Dプリンターを用いると、任意の3次元形状を造形でき、患者様一人一人異なる形状に合わせた複雑な形状の人工骨造形などを可能とする、オーダーメード医療のための3Dプリンター用材料としての展開も期待できる。また、生体内分解吸収性高分子であるポリ乳酸(PLA)は、生体内吸収性骨接合材などとして手術に既に応用されている。
これらの背景から、同社の森良平博士(工学)、田中大貴研究員、岩林 弘久研究員はこのほど、ヒドロキシアパタイトとPLAを主材料として複合化させた3Dプリンターで印刷できる材料を開発した。
そして、印刷により、簡易的なおもちゃの骨、骨を固定するなども可能になりえるスクリューのような構造のものも造形しました。
GSアライアンスでは、今後もβ-TCP(リン酸三カルシウム:ヒドロキシアパタイトより、さらに骨置換性が高い)や、コラーゲンなどの他のバイオマスマテリアルも用いた、より高機能を有する類似材料を検討していき、最終的な目標としては、生体内で分解吸収されると同時に骨組織によって置換されるような人工骨充填材、また再生医療に適した材料を開発することを目指す。

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