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大日本印刷・ディスプレイのぎらつき現象の測定精度を高める「ぎらつきコントラスト評価手法」を考案

大日本印刷株式会社(以下:DNP)はこのほど、光の映り込みを防ぐ「防眩(ぼうげん)フィルム」を貼ったディスプレイ表面のぎらつき現象の測定において、測定評価に含まれる誤差を簡易に確認できる「ぎらつきコントラスト評価方法」を考案した。この方法では、1件のディスプレイ画像から2つの異なる画像を抽出し、その2つの画像データの差分を統計処理することで、測定技術者の知見に依存せずに、データ間の誤差を簡易かつ定量的に推定できる。その結果、より適切なデータ比較が可能となり、評価結果の精度の向上につながる。
毎年行われるディスプレイ技術の国際会議「IDW(International Display Workshop)」にて、2020年にDNPが講演したこの手法が学術的にも高く評価され、世界的に権威のある論文誌「Journal of the Society for Information Display(Journal of SID)」の2022年9月号「Best of IDW2020特集」に論文が掲載された。

■「ぎらつきコントラスト評価方法」の背景とDNPの取り組みについて

パソコンやスマートフォン等のディスプレイでは、外光や照明等の反射・映り込みを低減するため、ディスプレイ表面に防眩フィルムを貼るなどの対策を施している。しかし、防眩フィルムの表面にあるミクロな凸凹の形状と光を発するディスプレイの画素が重なり合うことで、不規則な粒状ノイズが発生し、観る人の目には「ぎらつき」現象として知覚されることがあった。
近年は、ディスプレイの高精細化に伴い画素サイズと防眩フィルムの表面構造が近づくことで「ぎらつき」がより目立ちやすくなり、ぎらつき防止技術のニーズが高まっている。
このような現象に対して、防眩フィルムメーカーのDNPは、顧客である最終製品メーカーとの測定データを介した円滑なコミュニケーションと開発速度の向上を図るため、2015年に、ぎらつき測定の光学測定原理についての研究を本格的に開始した。
2020年には、ディスプレイ表面に発生するぎらつき現象に関して、異なる測定装置や測定条件での信頼性の高い客観的データの取得に必要な光学測定原理を解明している。
今回DNPは、撮像したディスプレイ画像の測定領域の取り方や、ディスプレイ自体の輝度ムラ等に起因するさまざまな誤差を簡易的かつ定量的に評価する手法を考案した。

■今後の展開

DNPはスマートフォンやTVモニターなど、さまざまなディスプレイの高精細化により誤差のない評価が重要になる中、今後もぎらつきコントラストに関する最新技術の開発に取り組み、学会などで発表していく。また、これらの研究開発で培った技術をDNPが開発・提供するディスプレイ用の防眩フィルムの性能向上に展開していく。

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