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モリサワのUDフォント開発と普及促進の取り組みが「STI for SDGs」アワード優秀賞を受賞
株式会社モリサワ(大阪市浪速区、森澤彰彦社長)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(以下:JST)が実施する「STI for SDGs」アワードにおいて「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)開発と普及促進」の取り組みが優秀賞を受賞したことを発表した。
「STI for SDGs」アワードは、JSTが2019年度に創設したアワード(後援:文部科学省)であり、科学技術・イノベーション(Science, Technology and Innovation: STI)を用いて社会課題を解決する日本発の優れた取り組みを表彰することにより、その取り組みのさらなる発展や同様の社会課題を抱える国内外の他地域への水平展開を促し、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成に貢献することを目的として、毎年実施されている。
同社は、2009年に最初のUDフォントをリリース以来、これまでさまざまなUDフォントを開発してきた。今回、同社が取り組むUDフォント開発と普及促進の活動が評価され、優秀賞を受賞することとなった。
■受賞した取り組み
▽名称=「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)開発と普及促進」
▽概要=ロービジョン(弱視)やディスレクシア(読み書き障害)、加齢などによる視力や認知機能低下などで、文字からの情報収集に困難を抱える人にとって、文字の見やすさ、読みやすさは、日常生活に大きな影響を与える社会課題となっている。モリサワのUDフォントは、その課題に向き合い、さまざまな使用場面に応じて開発してきた。
そのひとつである「UDデジタル教科書体」は、読み書きに困難さを抱えた子どもに配慮したデザインであり、Windows OSに標準搭載されたことから、学校を含む教育現場でも活用されている。
開発やデザイン修正の過程では、ロービジョンやディスレクシアなどの小学生を対象とした検証、障害当事者の参画、視覚障害シミュレーション用機器の利用などで改善を重ねてきた。
英語、中国語、ハングル、アラビア語、タイ語などの多言語対応のUDフォントも開発・提供しており、現在進行形で新たなUDフォントの研究と開発を進めている。
■受賞理由
フォントの開発過程において、科学的な検証が繰り返し行われていること、読みやすさを重視するUDフォントの開発が多数行われていること、視覚認知に困難を抱える方のニーズに焦点をあて、当事者が間違いやすいポイントを丁寧に抽出し、修正と検証が繰り返すデザインプロセスを構築していることなどが評価された。
主としてSDGs目標4のほか、3、11の達成への貢献が期待でき、UDフォント開発に携わる方々の活動やその意義は広く認知されるべきものであること、また他の目標達成を著しく損なうことのない活動であることから、選考委員会において優秀賞にふさわしいと判断された。